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福島大会ニュース

〈福島・収穫の夏(下)〉大敗教訓に「いぶし銀」育つ

2010年08月26日

 「組み合わせ最激戦の山で広陵(広島)、履正社(大阪)を倒し、ここまできた。歴史を刻めたと思う。選手たちを褒めてやりたい」

写真広陵戦の6回2死。中前安打で本塁生還を狙った二塁走者を根本の好返球でタッチアウトに。先制点を許すと、展開はどうなっていたか、分からなかった。捕手星=長島一浩撮影
表聖光学院の甲子園でのチーム記録

 甲子園準々決勝の興南(沖縄)に敗れた後、聖光学院の斎藤智也監督は悔しさの中にも感慨深げに話した。福島勢として広島勢に4度目、大阪勢には5度目で初勝利。優勝候補らを下しての8強入りに確かな手応えがあった。

 力をみせる場面は初戦で来た。0―0の6回、広陵2死一、二塁。中堅手根本康一は捕手星祐太郎がスプリットのサインを出したのを見て、守備位置を右翼寄りに浅く変えた。打席は4番の左打者。「引っ張るクセがある。落ちる球。打っても大きく飛ぶことは少ない」。予想通り、目の前に落ちた打球をすばやく本塁へワンバウンド返球。生還を狙った走者を刺した。

 「普段から捕手のサインで守備位置を研究している。外野は一歩捕球が遅れると、命取りになる」と根本。7回に相手の暴投で先制。好守で防いだ1点が、これまで破れなかった強豪の壁を崩した。

 甲子園で勝利にこだわるきっかけとなる試合がある。初出場の2001年第83回大会1回戦。明豊(大分)に0―20と大敗した。1、7回を除いて失点の連続、26安打を浴び、失策も二つ。打線は4安打。横山博英部長は「打撃力、守備力とも圧倒的な力の差を見せつけられた」。

 苦い経験が練習を変えた。守備は選手の基本能力を高めると同時に状況判断、アイコンタクトなど細かい内外野の連係を大切にした。根本の好返球もその延長線上だ。打撃は倍の時間を割くようになった。長打ではなく、投球を見極め、球種に対応できるスイング力を目標にした。履正社戦こそ2本塁打で勝ったが、本来は興南戦2回の5安打など集中打が持ち味だ。

 甲子園出発の3日前。斎藤監督はベンチ入り選手の発表の際、選手らに「監督11年目だが、お前らほど『いぶし銀』のチームはいない」と話した。福島大会6試合で決勝を含む3試合零封。15盗塁、64安打で43得点したことに最高の褒め言葉を与えた。

 深紅の大優勝旗は白河の関を越えたことがなく、東北勢は優勝経験がまだない。

 「広陵、履正社と甲子園2試合無失策は初めて。興南戦もつなぐ打線を発揮できた。技術、体力も大事だが、選手一人一人の精神的な強さが成長につながる。絶対日本一になるという思い、プレーへのこだわりをさらに高めてゆきたい」と斎藤監督。

 聖光学院の挑戦は続く。

 (この連載は古庄暢が担当しました)


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