ここから本文エリア

愛媛大会ニュース

自主性重んじる宇和島東らしさ随所に 甲子園振り返って

2010年08月11日

 第92回全国高校野球選手権大会に出場した宇和島東は1回戦で群馬代表の前橋商に敗れた。しかし宇和島東の選手たちが見せた再三にわたる好守には、3万3千人の観客からは、惜しみない拍手が送られた。夢の舞台に立つ喜びと、そこで勝ち抜く難しさを味わった夏だった。

写真試合に敗れ、スタンドへのあいさつから戻る宇和島東の選手たち=山本壮一郎撮影

 2回以降は五分五分だった。勝負を分けたのは、初回に出た経験の差だ。

 11年ぶり出場の宇和島東に対し、前橋商は昨春の選抜出場メンバーが多い。初回を3人で抑えた前橋商に対して、宇和島東は2失点。それ以降、三者三振を含む7奪三振を挙げて相手打線を抑え込んだ主戦の山本喬之君も「1回がすべてだった」と振り返る。土居浩二監督は「経験がない分準備していたのだが、やはり最初は球場の異様な盛り上がりにのまれていた。1回戦、特に初回の入り方が難しい。1回勝つことができたらまた違ってくるんだろうが……」と話していた。

 左投手対策にも苦労した。愛媛大会で相手投手のほとんどが右投手。対戦相手が決まってから左投げの選手を投手役に打撃練習をしたが、相手左腕をとらえきれなかった。

 けがにも苦しみながらの戦いだった。3番を担う三浦真吾君は、昨年からずっと腰痛に泣かされてきた。甲子園入りしてからも痛み止めをのみながらという状態。「悔いの残る試合となった。けがばかりで思うように練習が出来なかった。甲子園はあっという間だった」と唇をかみしめた。

 一方で、自主性を重んじる宇和島東らしさも随所に表れた。相手投手に対し、チームは直球狙いで挑んだが、4番の竹本光毅君は「自分には変化球を投げてくる。変化球を打てばみんなの真っすぐ狙いもばれない」とスライダーをセンター前にはじき返した。9番に入る浅野真矢君も「自分は何でもいいから塁に出ることが仕事」と相手投手に球数を投げさせて2四球を選んだ。

 愛媛県勢はこの3年間、1、2回戦敗退が続いてなかなか上位進出を図れないでいる。土居監督も、試合翌日には「甲子園に出場することが目標になっているのが現状。いかに甲子園で勝つかを考えて練習するワンランク上のレベルに達しないと甲子園では勝ち抜けない」と話した。「野球王国・愛媛」の強さを全国に見せるためにも、各野球部の意識のレベルアップが課題だろう。

 試合が終わって一夜明けた9日、選手たちの顔は晴れ晴れとしていた。「あっという間に時間が過ぎていったが、この場所に立てて幸せだった」と皆が口をそろえた。ノーシードから勝ち上がってきた宇和島東。3年生の思いは後輩に受け継がれ、来年以降も県内のライバル校たちと、愛媛の野球を盛り上げてくれることを期待したい。(松山尚幹)


ここから広告です
広告終わり

このページのトップに戻る