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「全員で考える」姿勢で急成長 甲子園4強の成田

2010年08月22日

 第92回全国高校野球選手権大会で4強入りを58年ぶりに達成するという快挙をおさめた成田は、昨秋、今春と県大会2回戦負けのチームだった。無名だった彼らはなぜ、甲子園での激戦をものにすることができたのか。

写真スタンドへのあいさつを終え、引き揚げる成田の選手たち=飯塚晋一撮影

 成田の選手たちが、試合前に必ず口にする言葉があった。

 「千葉の相手の方が、よっぽど怖いですよ」

 甲子園での対戦相手を、千葉大会で対戦したチームに重ね合わせていた。例えば強打の智弁和歌山は、習志野だ。 「習志野は外角の球にも食らいついてきたけど、智弁は空振りが多い」「これまで通り、内角の球を見せて外で勝負すれば問題なさそうだ」

 千葉大会の経験から、自分たちなりに勝負どころをはじき出していた。

 練習試合で敗れていた関東一(東東京)は、昨夏の千葉大会で敗れた千葉黎明に。好投手を擁する東海大相模(神奈川)は、今夏の千葉大会決勝で投手戦となった東海大望洋に。「あのチームに勝ったおれたちなら、戦う方法はいくらでもある」

 過去の試合の反省が書き込まれたよれよれのノートを片手に、対戦校のビデオを見ては、選手たち自身で突破口を見つけてきた。神妙な顔つきでミーティングルームに入っていく選手たちが、試合の話に夢中になって部屋から出てくるのが印象的だった。

 「自分たちで考える」という姿勢をチームに浸透させたのは主将の金子裕大だ。自称「リーダーらしくないリーダー」。彼の物言いがそれを表している。

 断言はしない。命令もしない。頭ごなしに言って聞かせるのでは、考えることにつながらないからだ。ただ、誰よりも先にアイデアを出してきた。

 千葉大会前。「第1試合が多いから、毎朝5時起きで体を動かしたらいいんじゃないかな」。早起きに体を慣らすため、成田山新勝寺への散歩を提案したのも金子だった。

 その金子が、甲子園に来てからはおとなしくなった。「もうみんな、ここまで来たら何をすべきかわかってますから」

 選手たちが自信を持って試合に臨めた理由は、もう一つある。エース中川諒の存在だ。「中川が多くても2、3点差に抑えてくれると信じているから、点が取れない展開でもあまり焦らない」

 甲子園では5試合で計45イニングを投げ抜いた。甲子園に来てからずっと、右腕に痛みがあったという。だが顔には出さず、試合では不調を感じさせない勝負強さを見せつけた。「最後まで勝負できた。みんなのために最後までマウンドを守り、エースを貫けた」。1人投げ続けた中川は、大会を終えてやっと、ほっとした表情を見せた。

 監督の尾島治信は今回の快挙を「全員がチームのためを考えて動いた結果」と評する。「打点だとか、奪三振だとか、数字だけで評価されがちな野球だが、自分が数字を出すだけで勝てるわけではないことを試合を重ねて学んだ」(敬称略)

     ◇

 成田の選手たちは22日昼、新幹線で新大阪駅を出発し、東京駅で観光バスに乗り換えて同校グラウンドに直行することが決まった。グラウンドへの到着は、午後4時ごろを予定しているという。


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