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秋田大会ニュース

ミラクル生んだ自慢の打撃力 能代、決勝もサヨナラ勝ち

2010年08月31日

 第55回全国高校軟式野球選手権大会(日本高野連主催、朝日新聞社、毎日新聞社など後援)の決勝が30日、兵庫県明石市の明石公園野球場であり、北東北代表の能代が四国代表の新田(愛媛)に2―1でサヨナラ勝ちし、28年ぶり2度目の優勝を果たした。大会を1人で投げ抜いてきたエースが最少失点に抑え、自慢の打線が終盤に力を見せた。

写真新田―能代 9回裏能代2死一塁、佐藤が右中間にサヨナラの三塁打を放つ。捕手田井能=明石、伊藤恵里奈撮影
写真校歌斉唱後、スタンドの応援団にあいさつするため走り出す能代の選手たち=兵庫県明石市の明石公園野球場、伊藤恵理奈撮影

■エースも奮闘、708球投げ抜く

 序盤に1点を先行され、なかなか追いつけない嫌な流れが続いた。7回まで相手エースの前に無安打、10三振。伸びのある直球と鋭い変化球に戸惑った。「これはちょっとやばいかも」。伊藤洸太主将がそう感じるほどの球威だった。

 8回にようやくチャンスが訪れた。初安打と四球などで1死満塁。内野ゴロで三塁走者は本塁封殺となったが、併殺狙いで一塁に送球された間に、二塁走者の山崎薫平選手が俊足を生かした好走塁で生還。ようやく同点とした。

 9回には2死から死球で走者を出した。続く2年生の佐藤陽介選手が初球の内角ストレートを思い切りたたくと、打球は高々と舞い上がって右中間を抜ける。一塁走者を迎え入れるサヨナラ三塁打になった。「つなぐつもりで打席に入った」という佐藤選手。ただ、自分で勝負を決める気持ちも「ちょっとだけありました」と本音をのぞかせた。

 能代は守備練習の2倍の時間を打撃練習に割く。1時間で安打性の当たりを100本打つのがノルマ。雪がひざの高さまで降り積もる冬には長靴を履いてバットを振った。

 5回から代打で出場した佐藤選手は、そんな攻撃野球の象徴だ。今年1月に入部したばかりだが、チーム一の長距離打者。準決勝が延長15回で一時停止試合となった後には、バッティングセンターで150球を打ち込み、ひざの使い方や体の開きを修正した。その努力が、決勝でのチーム初安打とサヨナラ打を生んだ。

 好投手を相手に、思うように得点できなかった今大会の能代。左腕のエース加賀谷至(いたる)投手が1人で計708球を投げてチームを支えた。今畠寿樹監督は「加賀谷と心中する」と言うほど絶対の信頼を寄せる。だが、この日は初回から体が重く、球が走らない。それでも、ピンチの場面では直球主体で強気に攻めた。

 加賀谷投手には航(わたる)さん、越(こゆる)さんという2人の兄がいる。父の勝さん(48)が「海を『航(わた)』り、山を『越(こ)』え、頂点に『至(いた)』ってほしい」と願って付けた名前。その夢がかなった。

■「本校、全国制覇です」歓喜の校内放送

 「軟式野球の結果を放送します。本校、2対1でサヨナラ勝ちしました。28年ぶり2回目の全国制覇です」。午後1時過ぎ、勝利の知らせは能代高校の全校生徒に校内放送で伝えられた。昼休み中だった教師、生徒からは「よくやった」「すごい」と歓声が上がった。

 優勝の電話を受けた工藤直樹事務長は、イニングごとに連絡を受けていた。8回に同点に追いつき、9回にサヨナラの一打。「プレッシャーがかかる中で、予想以上の力が出た。立派です」

 選手たちは31日午後、空路で秋田に戻り、同校で報告会をする予定だ。

 母校の快進撃に卒業生も沸いた。東京都大田区で印刷会社を経営する太田勝治さん(69)=能代高校東京同窓会長=は、テレビやラジオ中継が視聴できないため、インターネットの試合速報で優勝を知った。「18回まで続いたしぶとい試合を制したから、きょうも勝てると信じていた」

 母校の卒業生が書き込むブログでは、ここ数日、軟式野球部の話題で持ちきりだったという。


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