ここから本文エリア

現在位置:高校野球>愛知大会> 記事

愛知大会ニュース

〈球音〉王者の誇り、最後まで 中京大中京

2010年08月15日

 あきらめなかった。9回2死一、二塁。「先輩たちに申し訳ない。力を全部出し切ろうと思った」。中京大中京の主将・磯村の強烈な打球が三遊間を抜く。「後ろにつなぐ。仲間に、仲間にと。いい攻撃ができた」。今夏限りで勇退する大藤監督はうなずく。それでも点差は15。早実の後ろ姿は、はるかに遠い。

写真早稲田実―中京大中京 9回裏の攻撃を迎え、大藤敏行監督(右端)のもとに集まる投手森本(1)ら中京大中京の選手たち=竹花徹朗撮影
写真5回表、早稲田実に連打を浴びボールを見つめる中京大中京の森本=竹花徹朗撮影

 試合開始直後から大差を追う、厳しい展開になった。エース森本は1回途中、投球練習もせずに遊撃からマウンドへ上がる。腰や背中の痛みで春以降は満足に練習できず、今夏は最長でも5イニングしか投げていない。「次第に握力がなくなった」。5回、中堅返しを徹底する早稲田実の打線につかまる。「あわてていた。相手の打順すら分かってなかったから」

 ただ、どれだけ点差が開いても、走者が三塁に達すると前進守備を貫いた。昨夏の覇者として、選手権大会を7度も制した誇りのためにも1点を争う姿勢は捨てなかった。

 選手権、選抜大会を通算して131勝。栄光の陰には、多くの敗北がある。23回大会に戦前最後の優勝を果たした後は、16年間も夏の大舞台から遠ざかった。1990年代も愛知の強豪校の後塵(こうじん)を拝した。愛知大会決勝で、東邦に10点差で敗れたこともある。

 屈辱にまみれるたび、たくましさを増して甲子園へ戻ってきた。「いつまでも、悔しさを忘れないでいてほしい」と大藤監督。中京大中京、選手権大会19敗目。この大敗も、明日への糧となる。(山下弘展)


ここから広告です
広告終わり

このページのトップに戻る