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愛知大会ニュース

重ねた練習、慣れぬ人工芝に泣く 東邦・上戸君

2010年07月27日

(高校野球 愛知啓成6―3東邦)

写真東邦―愛知啓成 6回裏愛知啓成1死二、三塁、大西の二ゴロで三塁走者須田が本塁へ突入、生還。捕手都築=瑞穂、加藤勇介撮影
写真センターからベンチに戻る上戸悠真君(3年)=瑞穂

 同点に追いつかれて迎えた6回裏、1死一、三塁。タッチアップを警戒していた東邦の中堅手、上戸悠真(うえんど・ゆうま)君(3年)の頭上に、フライが打ち上がった。

 「絶対、点はやらない。ホームで刺す」

 少し下がって捕球しようと振り向いた。学校のグラウンドで土まみれになりながら、何千回、何万回と繰り返したプレーだった。ただ一つだけ、いつもと違うことがあった。足元は人工芝だった。スパイクの刃を取られ、倒れ込んでしまった。すぐに起き上がって転がるボールをつかみ、内野に送ったが、三塁走者が勝ち越しの本塁を駆け抜けた。記録は二塁打。頭が真っ白になった。

 県内一の114人の部員が競う東邦で、確実にミートする打撃が評価され、昨年夏の愛知大会では、2年生ながら5番左翼手で先発出場していた。だが、準々決勝で愛知啓成にコールド負け。その舞台も同じ瑞穂球場だった。

 「今年こそ勝ちたい。去年の借りを返すぞ」

 前日、愛知啓成との対戦を知らされ、喜んでいた。

 点差は3点に広がったが、「まだいける」と前向きだった。7回の守備では、1死二、三塁で再びフライが上がると、本塁へワンバウンドで返球し、三塁走者のタッチアップを許さなかった。

 最終回、先頭打者が出塁し、あと2人出塁すれば3番打者の上戸君にも回るチャンスが出てきた。手袋をはめ、打順を待った。「行くぞー」。ベンチから声を張り上げた。だが併殺に終わり、再び打席に立つことはなかった。

 優勝候補と言われながら、また準々決勝で敗れた。負けたことが信じられず、ベンチで顔を覆った。森田泰弘監督は「泣くんじゃない。精いっぱいやった結果だ」と声を掛けた。だが精いっぱいやってきたからこそ、悔いが残る。「まだ野球を続けたい。これじゃ終われませんから」。そう言って、口元を引き締めた。(工藤隆治)


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