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第91回全国高校野球選手権大会

憧れの舞台を目指して

本塁打に勝るものあった 横浜・筒香嘉智主将

2009年07月27日

<神奈川大会> 高校通算70本塁打にあと1本に迫っていた横浜の筒香嘉智(つつごう・よしとも)君(3年)が、延長の末に夏を終えた。怒り、喜び、悔しがる感情むき出しのプレーも、及ばなかった。

写真試合後、横浜の筒香嘉智君(左)に涙はなかった。自らを抑え込んだ横浜隼人の捕手船木吉裕君(右)と健闘をたたえ合う=横浜スタジアム

 4点を追う8回2死一、二塁の第5打席。この試合、初めて敬遠された。「いつも冷静でいられるわけではない。(敬遠されて)イラッとした」。思わず相手の三塁ベンチをにらみつけていた。

 9回、チームは猛攻撃に出る。4点差を追いつくと、顔をくしゃくしゃにして喜んだ。なお1死二、三塁。再び打席が回ってきた。「敬遠されるかな」と思ったが、相手は勝負を挑んできた。

 打てば勝ち越しの場面。読みが外れて内角のボール球に手を出し、一ゴロで三塁走者が本塁タッチアウト。顔をしかめて悔しがった。延長10回の守備では、三ゴロをさばききれずに失策。この走者にサヨナラのホームを踏まれた。

 3本塁打を放った昨夏の甲子園。準決勝で敗れてすぐ、主将に指名された。下級生時代は好不調の波があり、どちらかといえば怒られ役だった。立場が筒香君を変えた。「寡黙な選手だったが、打つことでチームを引っ張ってきた」と渡辺元智監督。コンスタントに本塁打を量産した。

 今大会4回戦、相模原総合戦で逆転3ラン。この日の4回にも、センター右に強烈な弾道のライナーを放った。横浜隼人は「筒香シフト」を敷き、中堅手の与那覇明君(3年)がやや右翼に寄り、フェンスのすぐ近くまで下がっていた。「外野にいるのに二直のような鋭さで、あんな打球は初めてだった」と与那覇君。8回の敬遠を含め、敗れてなおすごみを見せた。

 試合後は一転、感情を胸に抑え込んだ。うずくまる選手たちを立たせ、スタンドへのあいさつへ向かわせた。「本塁打より大事なものがあった。試合に負けたら意味がない。チームプレー。今後はこういうもののために頑張りたい」。成長できた一年を振り返り、かみしめるように話した。(木村尚貴)


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