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得た信頼「最高の3年間」 日本航空・伊藤優太捕手

2008年08月06日

<山梨代表 日本航空>

写真伊藤優太捕手

 「もう1点もやらない」。1点差で迎えた8回裏1死一塁。日本航空の捕手、伊藤優太(3年)の目に、一塁走者が走り出すのが見えた。エース北野駿人(3年)が投じたスライダーは鋭く曲がったが、食らいついて球を捕り、二塁へ目がけて思い切り投げた。遊撃手が飛びついてタッチアウト。相手の好機をつぶすことができた。

 走者を塁に出しながら得点できない。先制もされた苦しい試合。ただ北野は好調で青森山田打線を3安打に抑えていた。北野のためにも、追加点を許すわけにはいかなかった。

 山梨大会の直前、チームはばらばらになりかけたことがある。「やる気がないなら、帰れ」「何でおれの言う通りに投げないんだ」と伊藤が厳しい言葉ばかり口にしたため反発を買ったのだ。つかみ合いになったこともある。捕手としてチームを引っ張らなければ、と意気込み過ぎていたのが理由だった。

 監督の中沢学に「お前はチームの鏡なんだから」と諭され、空回りしていた自分に気がついた。「甲子園には行きたい。まず自分が変わらないと」と自覚した。

 肩の力が抜けて、やっと仲間から信頼を得られるようになったという。今まで伊藤のサインに首を横に振ることが多かった北野も、山梨大会に入ると、配球はすべて任せるようになった。

 この日の試合、ピンチの場面ではたびたびマウンドに駆け寄り、「お前はプロになる選手だ。負けていいのか」と北野を励ました。ムードメーカーとして、「まだまだ行ける」と声を上げ、笑顔だけを見せ続けた。

 試合後、伊藤は「最高のチームメートに囲まれた、最高の3年間だった」と振り返った。甲子園は終わったものの、野球はずっと続けていくという。涙に暮れる仲間の横で笑顔を絶やすことがない。どうして? 「最後までチームの鏡でいたいからです」(敬称略)


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