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貫いた「攻めの投球」 高岡商・福島剛士投手

2008年08月12日

<富山代表 高岡商> 球速はないのに、なぜ攻めの投球ができるのか――。2年生エース福島剛士投手の答えは「球に込めた気持ちが違う」。この日も直球は120キロ台。5点は奪われたが、100キロに満たない変化球も織り交ぜて127球。攻める姿勢を貫いた。

写真慶応―高岡商 7回表慶応1死、内藤を三振に打ち取り、ガッツポーズを見せる投手福島

 立ち上がりは好調だった。1回、2死三塁のピンチで、慶応の4番打者を右飛に打ち取る。2回は三者凡退。いつも通り、緩い球でタイミングを外し、強気な内角攻めで凡打を誘った。

 福島投手にとって、球種のサインは二つ。直球と変化球。「変化球の握りは同じ。抜けたらカーブ、指にかかるとスライダー。投げてみないと分からない。直球がシュート回転することもあるし、たまに抜ける緩い球も、程よい感じでいいんです」。自らの投球をこう説明する。そして「打たれるのには慣れました。でもピンチだと思わないし、『打ってみろ』と開き直れる。それが自分だし、だから抑えてこられたんです」。

 3回、変化球が決まらず、慶応打線に甘く入った直球を狙われた。1死からの3連打などで3点を失った。

 だが福島投手はその後も、粘りの投球を続けた。5、8回に1点ずつを失ったものの、連打は許さない。7回には、外角直球でこの試合唯一の三振を奪い、声をあげた。

 福島投手が気持ちを表に出し始めたのは、今年になってから。1年前なら、ガッツポーズをすることはなかった。

 昨夏の富山大会初戦でサヨナラ本塁打を浴びた。秋の県大会では準々決勝で敗れ、練習試合でもめった打ちにされた。そんなとき、先輩たちが励まし、一緒に苦しんでくれた。感謝の気持ちが生まれ、守備陣への信頼が攻めの投球を生んだ。

 「3年生と野球ができる喜び」。大会中に何度も口にしたその思いを、この日もボールに込めた。

 だが、打線も5安打で零封されて完敗。「まだまだ力不足。最後まで攻めたんですが……」。それでも甲子園でつかんだものがある。「野球がこんなに楽しいものだと初めて知りました。教えてくれた3年生に、ありがとうと言いたいです」。そして続けた。「また、甲子園に戻ってきます」。グラウンドの土は、持ち帰らなかった。(高野遼)


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