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好守、試合が動いた 高岡商・植村雄司選手

2008年08月06日

<富山代表 高岡商>

写真遊ゴロを一塁へ送球する植村雄司遊撃手

 勝利を呼び込んだのは、遊撃手・植村雄司選手(3年)のファインプレーだった。

 7回の守り。2死から大府のエース大野彰之選手(3年)の打球が、左中間へ抜けた。中堅手の北田尚也選手(2年)が背を向けて走る。「三塁打になる」。植村選手は外野に走りながら、1度、2度と三塁手の阿部達也選手(3年)を振り返った。「2人のちょうど真ん中に」。頭の中でイメージが固まった。軽くジャンプして捕球すると、着地した瞬間、振り向きざまに鋭い送球。ワンバウンドした球は、三塁上で構えた阿部選手のグラブへ吸い寄せられるように収まった。

 タッチアウト。みんなに胸をたたかれながらベンチに戻ると、宮袋誠監督が差し出した右手を固く握り返した。

 このプレーが、緊迫した投手戦を変えた。

 直後の攻撃。2死からの6連打で4得点。「あれで気持ちが落ち着いた」という福島剛士投手(2年)もリズムを取り戻した。

 植村選手が「自分だけの信念がある」とこだわりを持つ守備は、父・秀樹さん(38)との練習のたまものだ。

 小学生の時から、秀樹さんの仕事が早く終わる月曜日は、必ず車で練習に連れて行かれ、ノックを受けた。秀樹さんは野球が大好きだったが、選手の経験はない。ノックも最初は手で投げていた。

 ときには仕事を休んで県外まで試合を見に来る秀樹さんに、植村選手は聞いたことがある。「なんで来るが?」「自分はそんな注目されるような思いをしたことがない。息子のそんな姿がうれしくて、もっと支えたいんだ」

 この日、父と鍛え上げた守備が、さえわたった。

 6回の守備。2打席連続で安打されている大府の牧内樹選手(2年)を迎えた。前の打席では、中前安打に飛びついたが届かなかった。「悔しかった」。二塁側に一歩寄り、意識を体の左側に集中させた。鋭い打球が投手の脇を抜ける。素早く正面に回り、体で打球を止めると、素早い送球でアウトにした。

 植村選手の攻守に引っ張られるかのように、チームもファインプレーを連発した。

 「練習通りにできた。父が後ろで支えてくれると思ったから」と植村選手。そして「また応援してくれ」といって、少し照れた。


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