ここから本文エリア

現在位置:高校野球>第90回選手権>徳島> 記事

劇的9回 大声援 鳴門工・三塁側応援席

2008年08月05日

<徳島代表 鳴門工> 約3千人の関係者が詰めかけた甲子園の三塁側・鳴門工スタンド。選手たちのプレーに一喜一憂しながら、最後まで声援と拍手を送り続けた。

写真三塁側スタンドを埋めた鳴門工の応援団
写真吹奏楽部がない鳴門工のために、鳴門高吹奏楽部、BMSウインドアンサンブル(鳴門市)、吹奏楽団アババイ(徳島市)の計43人が駆けつけ、ぶっつけ本番で応援歌を演奏。得点が入ると阿波踊りのメロディーを奏でて応援を盛り上げた
写真そろいの赤いTシャツ、鉢巻き、メガホンで応援する生徒会の役員たち。7人全員での練習は1回しかしていないが、この日は声もそろっていた

    ◇

 応援リーダーとして生徒約300人を引っ張ったのは、生徒会長の3年下向将人君(17)。甲子園行きが決まって以降、バイト先のガソリンスタンドでお客を大きな声で迎えたり、自宅の鏡の前で手を伸ばす練習をしたりした。

 5月の生徒総会で会長就任のあいさつをした時、緊張で手足がぶるぶる震えたが、この日は大丈夫。運動部が強い学校なので、何度も壮行会で激励の言葉を述べ、慣れていた。1回表、1死三塁のピンチで三塁走者を挟殺。「1点取られるかというぎりぎりの所で止めた。すごい」

 生徒会にいる2年生のうち4人は野球部。忙しい部活動の合間をぬって、生徒会活動に参加してくれている。3回裏、安岡が本塁打を放ち先制。「うれしいですね。きれいに飛んでいった」     

 昨年4月、鳴門工に赴任した保健体育科の山田浩史教諭(46)が、応援団全体を取りまとめた。春休みに学校を訪れた際、グラウンドで練習中の野球部を見ていたら、1人が近づいてきて「こんにちは」と言い、続いて全員が一斉にあいさつした。とても感動したのを覚えている。

 現在、剣道部の顧問。教員になってもつらい仕事を乗り越えられるのは剣道の経験があるから。野球部の選手も、苦しさを乗り越えて最高の舞台に立っているはずだ。4回が終わり、1点差で鳴門工がリード。「秋田の人は粘り強い。この1点の重みがどう影響するか。選手も応援もこれからです」

 高校野球のトップに立つ選手たちは、どんなプレーや態度をしているのか。甲子園まで応援に来た生徒たちに学んでほしいと思い、この日を迎えた。5回裏、2死一、三塁、賀川の中前安打で三塁走者植木が生還。「いい形で、うちらしい野球になってきた」     

 完投した実祐輔投手の父英男さん(47)も元球児。「自分は甲子園に出られなかったから、背番号1をもらってマウンドに立っている祐輔は幸せだなあ」

 実投手は小学4年で野球を始めたが、体が小さく速い球が投げられなかった。スピード差で速く見せるように、英男さんと遅い球をさらに遅く投げる練習をした。体をいっぱいに使って投げるので、ひじや肩を痛めたこともある。2年の春に故障した時は、「おまえにはもう1年あるんやろ」といって治療を優先させた。

 9回表、同点に追いつかれ、さらに二塁打で逆転を許した。「先頭打者を出したのが痛かった。でも、こちらの攻撃は2番からの好打順。必ず点を取ってくれる」。興奮を抑えきれない様子の英男さん。息子は甲子園に出たくて、大阪を離れて高橋監督のもとへ行った。最後の夏、出たからには一つくらいは勝たせてあげたいと思っていた。

 9回裏、1死満塁。賀川の左前安打で同点。続く松浦健の左翼フェンス直撃の快打でサヨナラ勝ち。スタンドが揺れるような大歓声。「最高の勝ち方。我慢強く投げたと言ってあげたいです」。感極まって話した。(花房吾早子、高橋雄大)


ここから広告です
広告終わり

このページのトップに戻る