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魔法ノート、もう卒業 常葉菊川・岡田昌祥選手

2008年08月19日

<静岡代表 常葉菊川> たまには、掃除するのも悪くない。新チームになった昨秋、部室のロッカーを整理していたら、1冊のルーズリーフが出てきた。当時は部長だった佐野監督が、中日でプロ野球選手だったころに書き留めた「野球ノート」。周りを見渡す。誰もいない。思わず自分のバッグに忍ばせた。

写真常葉菊川・岡田昌祥(まさよし)選手

 強打者ぞろいのチームにあって、170センチ、63キロは非力だった。50メートル5秒9の足が唯一の武器なのに、投手との駆け引きが苦手で、盗塁を決められずに悩んでいた。

 寮で1人、こっそりノートを読み込んだ。「盗塁は奇数の球数で仕掛けろ」「左打者に長打はいらない」。その通りやったら盗塁の成功率が上がり、練習試合での打率も5割超え。今春の選抜大会では背番号17を手にした。

 でも、肩が弱く、なかなか試合に出られない。焦りから調子を崩し、最後の夏はメンバーからも外れた。まるで魔法が解けたかのように……。

 決勝の舞台には、ボールボーイとして臨んだ。左ひじを痛めた戸狩が打ち込まれ、左翼へ退いた。「最後まであきらめるな」。ノートの一文を心の中で唱え続けた。9回、再び戸狩が登板するのを見ていたら、涙があふれた。

 大学でも野球を続けたい。でも、通用するだろうか。悩んでいる自分に、監督は言ってくれた。「この1年でずいぶん成長した。もう、ノートは必要ないだろう」。監督は、すべてお見通しだ。(清水寿之)


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