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勝利へ導くデータ班 ベンチ外3年生、力に 佐賀商

2008年08月09日

<佐賀代表 佐賀商> 今夏の佐賀商の快進撃は、ベンチ入りの選手らを影で支えた3年生の存在なくしては語れない。

写真データ班の作戦会議。倉敷商の試合ビデオを見るまなざしは真剣そのものだ=大阪市淀川区西中島のチサンホテル新大阪

 総勢60人のチームで3年生は23人。佐賀大会でベンチ入りできるのは20人、甲子園ではさらに2人少ない18人で、競争相手には有望株の下級生もいる。

 7月5日の佐賀大会開幕を目前に控え、森田剛史(たけし)監督はベンチ入りメンバーを発表。名前を呼ばれなかった3年生10人は「最後の夏は、まだ終わっていない」と、戦う相手の戦力分析に役割を見いだした。

 「得点するには投手を攻略しなければ」。対戦校の試合の録画をすぐに取り寄せ、球種や球筋の傾向を統計処理し、翌日からの練習に生かせるデータをそろえた。冷房もないプレハブ小屋での「作戦会議」は、連日、ベンチ入り選手らの帰宅後も続いた。

 佐賀大会準々決勝。相手校エースが過去2試合、全打者に一度はカーブでストライクを稼いでいたと見抜き、「これが勝負球だ」と進言。全員がカーブを狙い、3回までに6得点して流れを決めた。「データ班あってこその勝利だった」。4打数3安打だった石橋拓朗中堅手はたたえた。

 準決勝、決勝でも、データ班の的確な助言に基づく対策が奏功し、佐賀大会での5試合はすべて序盤に先制しての勝利。「最初の打席から自信をもってバットを振れた」と樺島賢吾三塁手は振り返る。

 甲子園行きを決めた晩、同窓会館で祝勝会が開かれた。そろそろお開きにしようかというとき、「待って下さい。渡したいものがあります」。片岡大樹主将はそう言うと、データ班10人に前へ出てもらい、ベンチ入りした3年生たちを、向き合わせる形で並ばせた。

 「ありがとう」。ポケットにしのばせておいた、佐賀大会優勝の金メダルが、データ班の首にかけられる。満場の拍手。「フォア・ザ・チーム」が報われた瞬間だった。

 翌日、甲子園のベンチ入り選手が発表された。佐賀大会をともに戦いながら、外れることになった3年生の山本佑太郎選手がデータ班に加わった。

 山本選手は言う。「開会式でみんなと一緒に入場行進したかった。でも、自分たちの分析を生かして、みんなが活躍してくれれば本望です」

 甲子園にも同行しているデータ班は、9日第2試合で対戦する倉敷商の、岡山大会決勝の録画を7月31日に入手。その日のうちに分析を終え、結果は翌日からの練習に生かされている。

 「彼らがいてくれれば、大丈夫だ」。4番打者、津田真輔捕手は全幅の信頼を寄せている。

 昨夏は全国制覇を成し遂げた県勢。その後に続く今夏の佐賀代表として、また、自らも94年夏に甲子園で優勝を経験している佐賀商の、次なる「伝説」への挑戦がいよいよ始まる。


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