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司令塔 重圧払いのけ 智弁学園・土井翔平捕手

2008年08月11日

<奈良代表 智弁学園> 捕手の土井翔平君は昨夏からの不動のレギュラー。守備でも、打撃でもチームを引っ張る存在だ。1回戦で打球をひざに受けたエースの阪口剛君が投げ込みを再開するとすべての球を受けた。「いいねっ、ナイスボール!」。走り込みでバテている後輩を見れば「クーラーかけっぱなしで寝てるんとちゃうんか?」。絶えず周囲を気遣い、励ましてきた。

写真智弁学園―報徳学園 5回表智弁学園2死二、三塁、土井は中前に2点適時打を放つ

 だが、実は土井君自身、万全な体調で大会を迎えられたわけではなかった。前日の9日、「体が重い。精神的に疲れている気がする」と明かした。奈良大会から続く、負けられないプレッシャー。高まる周囲の期待感。感情の高ぶりからか寝付きが悪く、夜中に何度も目を覚ました。「最後の夏だし、楽しくやろう」。気持ちを切り替えるしかなかった。

 1回裏。2死三塁のピンチに阪口君が投げたフォークを捕り損ない、捕逸で先制点を許した。「思ったより変化が大きく、ミットの先に当ててしまった」と悔やんだ。

 0―2で迎えた5回表。8番から始まるこの回、3番を打つ土井君は「おれのとこまで回してこい」と願っていた。「借りを返さないと」。連続安打が出るなど2死二、三塁。「よし、やってやるわ」。闘志をかき立てマウンドの報徳のエースをにらみながら打席に入った。

 シャープに振ろうとバットを指1本短く持った。5球目。狙っていた直球を中前にはじき返し、2者をかえす同点適時打に。ベンチに向かって何度も手をたたいて喜んだ。「おっしゃー、やったでー、ここからやー」。前日まであれこれ悩んでいた様子はなく、目の前のプレーに全力投球する姿があった。

 土壇場での驚異的な反撃、無念の本塁憤死、そしてサヨナラ負け……。わずかに及ばなかったが、試合後の土井君は大粒の汗を額に浮かべながら、晴れ晴れとした表情を見せた。「好投手を相手に楽しかった。このチームでここまで戦えてよかった。思いっきりやれましたよ」。今後は挑戦の場を、大学に移そうと思っている。


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