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笑顔で勝負「来年も」 松商学園・伊東投手

2008年08月06日

<長野代表 松商学園> 4回裏、1死一、二塁。点差は4点。打席に「上位打線の中でも特に勝負強い」と最も警戒していた慶応の主将、山崎錬(3年)を迎えた場面で、伊東啓貴(2年)はマウンドを任された。

 小尾淳美監督から「もうすぐ行くぞ」と声がかかったのは、2回だった。ベンチから見ていた慶応打線は「少しでも高めに浮くと、簡単に長打に持っていく」。球を低めに集めることを意識して、1年ぶりの甲子園のマウンドに上がった。

 昨夏、伊東は3番手の投手だった。1回を投げて失点1。覚えているのは、「緊張して周りがまったく見えなかった」ことだ。

 今年は違った。マウンドに上がると、満面の笑みがこぼれた。甲子園で投げるのが楽しくて仕方なくて、「精神面での成長を実感できた」。

 山崎にも、臆(おく)することなく直球を軸に勝負を挑んだ。詰まらせたが、飛んだ方向がよく内野安打。続く4番には死球を与え、1死満塁。それでも落ち着いて後続を投ゴロ二つに切って取った。5回は無死一塁から投前送りバントをさばいて併殺にし、慶応に傾いていた流れを断った。

 「もともとマウンド度胸はあるが、きょうは苦しい場面で本当によくやってくれた」と小尾監督。長野大会でも追いかける展開だった準々決勝の須坂東戦で登板。3イニングを被安打ゼロの活躍で逆転勝利を呼び込んだ。

 この日も、打線は伊東の踏ん張りに応えて9回に2点をもぎ取る。「ベンチの雰囲気は須坂東戦のようだった。絶対逆転できると信じていた」。だが、逆転劇の再現はならなかった。

 試合後、泣き崩れる先輩たちの中で伊東に涙はなかった。「自分の出来は70点。あと一歩足りなかったが、手応えはある。次は春夏連続で甲子園に来て先輩の悔しさを晴らします」。来年に向けた笑顔が輝いた。


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