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「2人のエース」輝いた夏 鹿児島実

2008年08月14日

<鹿児島代表 鹿児島実> 「変化球を狙われている」。先発の岩下圭君(18)は立ち上がりに感じた。予感通り、2回につかまった。

写真8回裏、右翼の守備から戻る松窪岬選手
写真先発した岩下圭投手

 高めに入った球を相手打線は見逃さない。4安打を集められ、3点を先制された。投球練習をしていた松窪岬君(18)は、岩下君が連打される光景が信じられなかった。

 2人は入部以来、競ってきた。松窪君が先に頭角を現した。新チームでもエースを任され、岩下君は2番手。だが、今春に松窪君は右肩を故障、物を持てないほどになった。岩下君は「自分に力がなく、頼りきっていた」と悔やんだ。それが転機となり、自覚と責任感が生まれた。

 松窪君が背番号1、岩下君が10をつけて臨んだ鹿児島大会で、岩下君は6試合中5試合で先発した。宮下正一監督(35)は「エースナンバーが二つあったら2人にあげたかった」と振り返る。

 甲子園の初戦は岩下君が先発し、松窪君が抑えて快勝。2回戦は松窪君が先発し、岩下君が好救援した。だが、この日、岩下君は7回までに7失点した。

 8回、代打の松窪君が中前安打。前夜、松窪君は「打撃で岩下を助けたい」と宿舎を抜けて素振りをしていた。岩下君は知っていただけにこの1本がうれしかった。

 敗戦後、岩下君の目に涙はなく、「松窪がいたから、ここまで来られた」。涙を流した松窪君は「岩下には感謝している」。ライバルそして友。「2人のエース」が甲子園から去った。(三輪千尋)


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