ここから本文エリア

「サヨナラの報徳」無念 磨かれた守備光る

2008年08月16日

<東兵庫代表 報徳学園> 直球は走らず、変化球も切れがない。エース近田怜王投手(3年)は力を十分発揮できなかった。それでも、序盤は相手打線を本塁打1本に抑える。だが、1試合平均16安打の強力打線は中盤以降の甘くなり始めた球を見逃さなかった。

写真報徳学園―大阪桐蔭 4回裏大阪桐蔭2死二塁、中谷の右前安打で二塁走者萩原は本塁を突くがタッチアウト。捕手糸井=遠藤啓生撮影
写真報徳学園―大阪桐蔭 5回表報徳学園2死二塁、西郷は右越えに本塁打を放ちガッツポーズ=金川雄策撮影

 2点リードで迎えた6回裏。連打を浴びた後の2暴投と四球、2本の適時打で一気に逆転される。主将の糸井慎太朗捕手(3年)は何度もマウンドに駆け寄り、「気持ちで来い」と鼓舞し続けた。だが、制球は最後まで定まらず、8回裏に3連打を許したところでマウンドを譲った。

 昨夏の甲子園は途中降板し、チームは初戦敗退。悔しさを糧に成長した姿を見せようと臨んだ最後の夏は3回完投勝ちした。しかし、直球で押す持ち味を発揮し切れていないもどかしさがあった。

 この日は自分が信じる直球を投げ、打たれた。試合後、近田は「これが今の自分の実力」と振り返りつつ、「甲子園で完全燃焼できた。素晴らしい夏だった」と続けた。1年前の挫折から再び聖地に戻り、力を尽くしたエースは、涙をこらえるように笑った。

■好返球でアウト 

 堅守はこの日も輝いた。

 4回裏2死二塁のピンチ。右前へ上がった打球が、逆風に押し戻されて失速した。中川将志右翼手(3年)がダイビングキャッチを試み、わずかに届かずワンバウンドで捕球。「このボール、任せたぞ」と思いを込めて井村貴敏二塁手(3年)に送球した。

 走者は三塁を回る。昨夏から中川とキャッチボールをしてきた井村は「中川が必死で捕ったボール。絶対アウトにする」と本塁へ返球し、タッチアウトに。中川は7回も1死一、二塁で右翼へのライナーを下がりながら好捕した。

 今春の地区大会敗退後、ノック中に監督や選手同士が怠慢なプレーを指摘し合うようになり、守備が磨かれた。部員が音を上げなかったのは、敗戦の悔しさがあったからだ。甲子園では4試合すべて無失策だった。

■先発2年生奮起 

 打撃では先発出場した2人の2年生が奮起した。

 5回表1死。打席の籾山雄斗遊撃手(2年)は満員のスタンドからの声援で武者震いした。苦しい練習にくじけそうになる籾山を引っ張ってくれたのは3年生たち。スタンドには練習に耐え抜きながら、ベンチに入れなかった先輩がいる。「絶対日本一になって、恩返しする」。初球をとらえ、中前へ鋭く運んだ。

 犠打を挟み、打席には西郷遼平三塁手(2年)。守りながらマウンドの近田が苦しそうなのは分かった。「なんとか楽にさせたい」。内角の直球を思いきり振り、打球は逆風を突いて右翼フェンスを越えた。公式戦初の本塁打。「めちゃくちゃうれしい」とガッツポーズしながら本塁まで返った。9回表も右中間を破る二塁打で粘りを見せた。

 しかし、逆転できぬまま試合終了。「甲子園はいいとこやった。泣いたら甲子園に悪い。笑おう」。選手は声を掛け合い、涙を流しながらも笑顔で相手校の校歌を聴いた。籾山は「この涙を忘れない。死ぬ気で練習して、絶対ここに戻ってくる」と誓った。


ここから広告です
広告終わり

このページのトップに戻る