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済美、初戦突破ならず 強力打線封じられ

2008年08月03日

 第90回全国高校野球選手権記念大会(朝日新聞社、日本高野連主催)第1日の2日、済美は智弁和歌山(和歌山)と対戦し、0―3で敗れた。3人の投手が14安打を浴びながら要所を抑えたが、自慢の強力打線が智弁和歌山の2年生左腕に完封された。しかし、最後まであきらめない済美らしい粘りの野球を見せ、3万2千人の観衆を最後まで沸かせた。

写真智弁和歌山―済美 8回裏済美1死一塁、大森は中前安打を放つ

 3点を追う9回、上甲正典監督が最後の攻撃を前に、ベンチ前のグラウンドに選手たちを座らせて言った。「意地で1点取ってやろう」

 先頭打者の浅岡弘之君が4球目を右翼線へ痛烈にはじき返す二塁打を放つと、甲子園が沸いた。しかし、後が続かない。2者が右直と三振に倒れた。次打者は、愛媛大会準決勝の三島戦で9回2死から満塁の走者を一掃する逆転サヨナラ二塁打を放った松本俊浩君だ。

 「とにかく次につなぐ」。松本君はそう心に決めて打席に入った。初球をたたき、左前に抜けるかと思われた打球は遊ゴロに打ちとられ、逆転劇の再現は成らなかった。

 智弁和歌山の高嶋仁監督は対戦を前に、「(1番から6番まで)ずらりと並んだ済美の左打者を攻略したい」と明言した。その「刺客」として送り込まれたのが、背番号「10」の2年生左腕だった。上甲監督は「左打者の外角に逃げるスライダーが、みなボールに見えたようだ。伸びのある速球に押し込まれた」と悔しがった。

 再三のピンチを堅守が救った。5回、エース古川容豊君が相手の4番打者にカットボールを二塁打され、無死二、三塁。追加点を奪われたくない場面で、二塁手の池永聡君が絶妙なプレーを見せた。次打者の中前に抜けるかという当たりを池永君は横っ飛びで好捕すると、2走者が思わず飛び出したのを見逃さなかった。一塁には送球せず、三本間に三塁走者を追いつめると、今度は三塁の手前で二塁へ戻ろうとした二塁走者に標的を変えてタッチアウト。直後に再び本塁へ突っ込んだ三塁走者を刺殺して併殺を奪った。

 池永君は「逆転できると信じ、必死でした。とっさの判断で体が動いた」と振り返った。

 8回1死一塁の好機に3番打者の大森駿君が、狙い通りの直球を打ち返した。「何とか落ちてくれ」。そう念じながら一塁をめざすと、少し詰まった打球が中前にぽとりと落ちた。

 大森君は中学時代は軟式野球チームに所属していた。5番打者の坂田親哉君も軟式野球の出身だ。済美の選手の大半が硬式野球のボーイズリーグの出身の中、2人は互いの帽子のつばに「軟式コンビ」と書いて励まし合ってきた。

 入部したての頃は、硬式と軟式の違いによる打球の伸びなどに戸惑った。「軟式出身者はレギュラーになるのが難しい」。そう周囲から言われたこともあったが、坂田君が昨秋からレギュラーに定着。その坂田君から勇気をもらった大森君も今春、レギュラー入りした。

 8回、大森君が広げた好機に、坂田君は打席に立つことができなかった。直前まで3打数無安打と結果を残せず、この回、上甲監督に代打を告げられたためだ。

 しかし、2人は試合後、「軟式野球の出身者でも『やればできる』ことを証明できた」と、互いの健闘をたたえ合った。


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