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星稜(石川)ニュース

全力投球 忘れ物はない 星稜エース・高木京介選手

2007年08月14日

 2万6000人の観衆に囲まれ、マウンドに立ったエースの高木京介は初回から飛ばしていた。はま風が吹き抜けるマウンドは「気持ちよかった」。調子は悪くなかった。

写真力投する先発の高木=阪神甲子園球場で

 1年生の頃から注目を集め、県内屈指の左腕と評された。しかし昨夏の石川大会は準決勝で敗退。昨秋の北信越大会準決勝では6点リードした場面もあったが長打を浴びてサヨナラ負け。あと一歩で甲子園を逃し続けてきた。

 最後の夏。石川大会では周囲の期待がプレッシャーになった。「勝って当たり前。結果を残さないと」との思いが頭から離れなかった。「毎日、自分との戦いだった」。でも苦しい経験を積んだからこそ精神もたくましくなった。「エースで4番」としてチームを優勝に導いた。

 夢だった甲子園。「今度は自分たちが挑戦者」と、新たな気持ちで打者にむかった。調整も万全だ。後ろに2人、頼もしい控えの投手もいる。直球中心に低めに集め、1、2回は無安打。3回は2死二塁の打席で右前打を放ち、先制の1点をたたき出した。

 高木は6回も左前安打で出塁してグラウンドを走り回った。球場を30度を超える容赦ない暑さが襲い、体力を奪った。その裏、無死から直球を中前に運ばれ二塁打。この試合初めて浴びた長打だった。スタミナ切れを感じ始めた。伝令の森川がマウンドに走った。「あわてるところじゃない。一つ一つアウトを取っていこう」。

 分かってはいても焦りが出た。再び得意のスライダーで連打を浴び、同点に。直球で三振を奪い、なお1死二、三塁。三振を取りに行った直球が右飛になり、三塁走者がスタートを切った。返球は間に合わず1点を勝ち越された。「やられた」と顔をしかめた。7回にも1死二塁から暴投で3点目を奪われ、マウンドを高橋に託して右翼の守備に入った。

 「まだゲームが決まったわけじゃない」。8回、初球を振り抜いて中前に運んだ。4打数4安打。最後まで主軸として引っ張り続けた。

 ベンチから引き揚げながら頭をよぎったのは苦しい練習の日々だった。「高校生活は、つらい思い出ばかり」と笑った。それでも「2年半やってきたことはすべて甲子園に置いてきた。悔いはありません」と強く言い切った。=敬称略


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