検索とメインメニューとばして、このページの本文エリアへ検索使い方
現在位置 : asahi.com > 高校野球 > 第88回選手権 > 総合ニュース > 記事ここから本文エリア

高校野球総合ニュース

早実の斎藤 群馬の故郷離れ、東京で兄と2人暮らし

2006年08月21日

 9回表、1点差に詰め寄られてから、甲子園には大歓声が響き続けた。早稲田実のエース、斎藤佑樹君が投げる。5万人が息をのみ、一瞬、歓声が弱まった。空振り三振。ゲームセット。体を震わすような、一段と大きな歓声と拍手が球場にとどろいた。

写真

駒大苫小牧―早稲田実 9回表、マウンドに駆け寄った早稲田実の捕手白川

写真

優勝を決め喜ぶ、斎藤投手(手前)ら早稲田実の選手たち=21日午後、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で

写真

優勝を決め、マウンド付近で喜ぶ早稲田実の選手たち=21日午後、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で

 選手たちが一斉にマウンドに駆け寄った。みんな叫んだ。斎藤君を中心に、高々と腕を突き上げ、勝利の喜びを爆発させた。

 普段は、ピンチでも、三振をとっても、表情を変えず「クール」と呼ばれたエースが泣いた。その肩を、背中を、仲間たちがたたき続けた。

 アルプス席でも、野球部員たちが両手の白いメガホンを突き上げ、雄たけびを上げた。チアリーダーは涙でくしゃくしゃになった顔をポンポンでおおった。「よくやった」「いいぞ早稲田!」。応援席から選手たちに声がとんだ。

 前夜の宿舎。和泉実監督は、斎藤君を先発させるつもりはなかった。「肩がぶっ壊れちゃうんじゃないか」。斎藤君のはり師は「いや、投げられる」。朝、本人も「大丈夫です」と言った。戦う姿勢を見せられ、和泉監督も腹を決めた。

 1回表、相手打線を三者凡退にとる上々の滑り出しに、斎藤君の母のしづ子さん(46)は「抑えてくれたけど、ハラハラです」。試合前、炎天下での応援を気遣う息子から「今日は試合を早く決めるから」というメールが届いていた。

 1回裏、無死一塁で盗塁が失敗。和泉監督は試合後、「選手たちに『こうやって戦うんだ』という姿勢を伝えたかった」。

 この日も斎藤君の低めの球を捕手の白川英聖君は再三、体で止め、後ろにそらさなかった。昨年5月までは投手だった。肩の良さを買われて捕手に。最初は斎藤君のワンバウンドする鋭いスライダーはもちろん、直球もうまく捕れなかった。OBに教わり、捕れなくても胸を張り出して球を止めることを覚えた。この夏、捕逸は0。打ってもこの日、2安打を放った。

 主将の後藤貴司君は5回表、無死一塁で、三遊間のヒット性の当たりを好捕した。「守りで斎藤をもりたてないと、と思っていた」

 斎藤君は、4日で計553球を投げきった。今大会通算では948球。アルプススタンドから見つめていた斎藤君の兄で大学生の聡仁さん(21)は、えんじ色のタオルに顔をうずめた。群馬県の故郷を離れ、東京で斎藤君と2人暮らしを続けてきた。「弟の苦労を一番近くで見てきたから……。お疲れ様でした、と言いたい」。あとは涙で続かなかった。



ここから広告です
ここから広告です
広告終わり

この記事の関連情報


ここから広告です
広告終わり
▲このページのトップに戻る
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
| 朝日新聞社から | サイトポリシー | 個人情報 | 著作権 | リンク| 広告掲載 | お問い合わせ・ヘルプ |
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.